歯科衛生士がお伝えする!歯の付け根が黒くなる原因
2024年6月8日
こんにちは。
今回のコラムは、「歯の付け根が黒くなる原因」について、歯科衛生士の観点から分かりやすくお伝えしていきますね。
多くの方が気にされるよくある症状の一つに、「歯の付け根が黒く見える」という症状があります。
これにはいくつかの原因がありますので、まずそれらの原因について個別に説明していきますね。
歯周病による歯肉の退縮
歯の付け根が黒く見える最も一般的な原因としては、歯周病による歯ぐきの退縮があげられます。
歯周病は、プラーク(ばい菌の塊です)や歯石の蓄積が原因で歯周に起こる炎症性の疾患で、歯ぐきが炎症を起こし、状況の改善がないままだと最終的には退縮してしまいます。
「歯ぐきが下がる」状態になるという言い方の方が分かりやすいかもしれませんね。
歯ぐきが退縮すると、通常は歯ぐきに覆われている歯の根が露出していくため、この歯の根が黒く見えることがあります。
歯根の露出と象牙質の露出
歯ぐきの退縮によって露出した歯根は、エナメル質で覆われていないため、象牙質という層が直接見えています。
象牙質は白く見えるエナメル質よりも色が暗く黄ばんで見えることが一般的で、歯の付け根部分が黒っぽく見えることがあります。
また、歯根の部分は摩耗しやすく、また虫歯にもなりやすく、虫歯が進行して治療が遅れると茶色や黒ずんで見えることもあります。
歯根の露出部分は定期的なフッ素塗布や、フッ素が配合されている歯みがき粉の使用により虫歯の予防になります。
金属製の歯科修復物
以前に処置をされた歯科治療の歯科修復物の縁の金属色が露出したり、自分の歯と歯科修復物との境目の部分が歯の付け根を黒く見せてしまう場合もあります。
特に前歯の白い被せもの場合によくある症状です。
また、別の症状として歯ぐきが黒くなる症状もあります。
これは、銀の配合量が多い合金でできた銀歯や銀の詰め物などの歯科修復物で治療されている場合に、時間が経過すると金属が歯ぐきに影響を与え、歯ぐきの黒ずみを引き起こしていきます。
これは銀イオンが歯肉に浸透するために起こります。
同じ銀色の金属でも銀の配合量が少ない合金の場合ではこのような症状は少なく、保険で行う金属の治療では銀の配合が少なめのものが主流なので重篤な症状は起こりにくいようです。
原因について個別に説明をしたのですが、気になるのはこれら歯の付け根の黒い部分対する治療についてですよね。
治療については、歯の付け根の黒くなっている原因に応じて異なってきます。
歯周病が原因の場合は、歯周病の治療を行い、歯ぐきの健康を回復させることが重要になってきます。
虫歯の場合はその部分を削り取り、樹脂などで埋める治療になります。
また、歯科修復物が原因の場合は、治療のやり直しになってしまうのですが、修復物の交換や再治療による改善が必要になることがあります。
歯ぐきに入り込んだ銀イオンの場合は分かりやすく言うと、皮膚の「入れ墨」のような状態のため、色の濃い重度の場合は除去が困難なことが多いです。