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歯周病に効く薬、歯周病に悪い薬について知っていますか??

2023年4月28日

Woman showing healthy gums on grey background, closeup

歯周病のコラムも12回目になりますが、今回は歯周病に効く薬と歯周病に悪い薬について解説していきます。
「歯周病に効く薬」という言葉を聞いてしまうと、服用すれば治ってしまうのか・・・、と考えたくなってしまうかもしれませんが、服用して「歯周病が完治してしまう」というようなものではありません。
歯肉炎や歯周炎の予防あるいは治療に長期間にわたり効果を持つ薬物やワクチンは存在しないのが現状です。
過去のコラムの中で、歯周病菌は歯に定着して増殖して炎症をおこすので、歯磨きで掃除することは重要である、という事を述べましたが、物理的な歯磨きによる歯の掃除なしに薬だけに頼るというのは間違いと考えて頂いたほうが無難です。
歯周病に大きく貢献している薬剤といえば、局所投与型抗生物質であるテトラサイクリンです。
テトラサイクリンは抗菌作用の他に骨の吸収を抑制する作用、骨の再生を促進する作用がある事も分かっています。
急性症状のある歯周ポケットや、歯ぐきの下にある歯石を除去しても炎症が減退しないなどの場合に、適量を歯周ポケットに直接注入することで症状を改善に導きます。
歯周ポケットの中がある程度きれいになっていることが、症状改善には不可欠だと言えます。

一方、歯周病に悪い薬というものもあります。
高齢者の場合、数種の薬物の投与を受けている場合が多いのですが、その中に歯周病に悪影響を与える薬も少なくないのが現状です。
高血圧の方に処方される降圧剤の中でも、カルシウム拮抗薬とされているニフェジピン服用者の20%~40%、ジルチアゼム服用者の20%、ベラパミルの服用者の4%に歯肉の増殖を認めるという報告があります。
歯肉の増殖というのは歯ぐきが腫れるのとは違い、歯ぐきの量そのものが増えるという状態です。
皮膚で例えるなら、筆圧が強すぎて指先に出来る「ペンだこ」のように、局所的に皮膚が盛り上がった状態に似ており、歯の根元の歯ぐきが盛り上がった状態となります。
直径は3~5ミリ程度の半球状の盛り上がりが歯と歯の間の歯ぐきの根元に多数できるのが特徴です。
この歯肉の増殖により歯周ポケットが深まるため、歯周病は悪化傾向となります。
これらの降圧剤以外にも、抗てんかん薬や、腎臓移植された方が服用するサイクロスポリンAも歯肉の増殖を誘導するとされています。
腎臓移植をされた方の場合、ほとんどが腎性高血圧も併発しているので、降圧剤も同時の服用している場合が多いようです。
特に、ニフェジピンとサイクロスポリンAを同時に服用すると非常に重篤な歯肉増殖を生じるという報告もあります。

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