外れた場合、どうすればいいですか?
2025年6月17日
前回のコラムでは、「割れ」や「外れ」が起こる理由と、それを防ぐための対策について詳しく解説しました。
外れた状態のまま放置してしまうと、中の歯がむき出しになってしまい、虫歯が進行したり、歯が移動してしまうなどの二次的なトラブルにつながる可能性があります。
今回のコラムでは、かぶせものが外れたときに取るべき適切な行動と、避けていただきたい注意点について詳しくご説明いたします。
◆ 外れたら、まずやるべきこと
① 外れたかぶせものを保管する
かぶせものが口の中で外れた場合は、無理に歯に戻さず、ティッシュなどに包んで清潔な容器に保管してください。
状態によっては、再接着が可能なケースもあるため、破損がない限りは捨てずにお持ちください。
※誤って飲み込んでしまった場合でも、痛みや違和感がなければ通常は自然に排出されますが、心配な場合は医師にご相談ください。
② できるだけ早く歯科医院を受診
かぶせものが外れたまま放置すると、中の歯がむき出しの状態になってしまい、細菌感染・虫歯・知覚過敏などのリスクが高まります。
また、数日経つだけでも周囲の歯が動いたり、咬み合わせが変化することがあり、再装着できなくなる可能性もあります。
そのため、早めのご来院がとても大切です。
◆ 外れたかぶせものは再利用できるの?
かぶせものが外れた後でも、破損や変形がなく、歯の状態も安定している場合は、再度取り付けることが可能です。
しかし以下のようなケースでは、新しく作り直す必要があることもあります。
・かぶせものにヒビや欠け、穴あきがある
・中の歯自体が虫歯になっている
・土台(コア)が割れている
・かぶせものの適合性が悪くなっている(すき間やズレがある)
治療前にレントゲンや口腔内の状態をしっかり確認し、患者様と相談のうえで最適な対応を判断します。
◆ やってはいけないこと
以下のような行動は、症状を悪化させる恐れがあるため絶対にお控えください。
・市販の接着剤で自分で戻す
→ 一般的な接着剤は口腔内に適さず、歯や歯ぐきを傷める原因になります。一般的な接着剤は、そもそもかぶせものを装着することには適さない接着剤なので、咬み合わせの高さが高くなり、余計に咬みにくくなります。
・そのまま咬んで食事を続ける
→ 外れた部分に食べ物が詰まりやすく、感染リスクが高まる上、歯が欠ける恐れもあります。外れた部分で咬まないようにするなどの注意をしましょう。
・長期間放置する
→ 数日~数週間の放置でも、隣の歯や向かい合っている歯との間に隙間が生じるため、歯の移動が起こり位置がズレたり、神経が炎症を起こすリスクが出てきます。
◆ 外れやすくならないために
かぶせものが外れるのにはいくつかの原因があります。以下を心がけることで、長持ちさせることができます。
・定期検診を受けて、接着状態や歯の健康をチェック
・硬いもの・粘着性のあるものを無理に咬まない
・歯ぎしりや食いしばりの癖がある方は、ナイトガード(歯ぎしり用のマウスピース)を使用
・歯のクリーニングと丁寧なセルフケアで虫歯・歯周病予防
◆ まとめ
かぶせものが外れてしまっても、落ち着いて行動することが大切です。
特に、外れた直後の対応や早期の受診が、その後の治療方針を大きく左右します。
歯科医院では、かぶせものが外れた原因を丁寧に調べたうえで、再装着・修復・再製作まで、その方に合った治療を提案しています。
「これは外れたのか、取れただけか分からない」「しばらく経ってから外れてしまったけど大丈夫?」といった不安も、相談してみてください。
◆ 実際にあったケーススタディ:外れた原因と対応
ケース1:保険診療のレジン前装冠が5年目で外れた40代女性
ある40代の女性患者さんは、前歯に装着していたレジン前装冠(保険適用のかぶせもの)が突然外れたということで来院されました。
調べてみると、かぶせもの内部に軽度の虫歯が再発していたことが判明しました。
患者さんはお仕事で多忙な日々が続いており、定期検診に3年以上お越しになっていなかったことも影響していたと考えられます。
今回は内部の虫歯を治療した後、より長持ちし、見た目も自然な自費診療のジルコニアクラウンに変更されました。
「前より自然で、口元に自信が持てるようになった」と大変ご満足いただけました。
ケース2:セラミッククラウンが外れたが、再装着で対応できた30代男性
30代の男性患者さんは、奥歯に装着したセラミッククラウンが食事中に外れたとして来院されました。
幸いにもかぶせものは破損しておらず、歯の中も問題がなかったため、その場で洗浄・消毒を行い、再装着できました。
原因は接着剤の劣化と、歯ぎしりの癖が影響していたと考えられたため、再発予防としてナイトガードの装着をご案内し、現在も問題なくご使用いただいています。
◆ 素材別:かぶせものの「外れにくさ」の傾向
かぶせものにはさまざまな素材がありますが、素材ごとに「接着力の持続性」や「破損のリスク」「精度の違い」があります。
以下に、代表的な素材とそれぞれの外れにくさの傾向を比較してみました。
| 素材名 | 保険適用 | 見た目 | 精度・適合性 | 外れにくさ(目安) | コメント |
|---|---|---|---|---|---|
| レジン前装冠(前歯) | 〇 | △(白いが変色しやすい) | △ | △(経年で劣化しやすい) | 保険で安価だが、変色・破損・脱離のリスクあり |
| 銀歯(メタルクラウン) | 〇 | ×(銀色) | △ | ○(比較的丈夫) | 奥歯向きだが、審美性に欠ける |
| セラミック(e.maxなど) | × | ◎ | ○~◎ | ○(適合性良好) | 見た目が自然で、精度も高い |
| ジルコニアクラウン | × | ◎ | ◎ | ◎(非常に外れにくい) | 強度・適合性ともに最高クラス |
| ハイブリッドセラミック | × | ○ | ○ | △~○ | 柔らかめで割れにくいが、長期的には劣化も |
※上記は一般的な傾向であり、個々の症例や口腔内の状態により異なります。
◆ 最後に:ご自身に合った素材選びと定期的なフォローが大切です
かぶせものの外れやすさは、素材の違いだけでなく、装着時の精度・咬み合わせ・日常のケアや生活習慣にも左右されます。
「予算」「見た目」「耐久性」「健康保険の適用範囲」など、さまざまな観点から患者様に最適な選択肢をご提案いたします。
外れた経験がある方も、これから治療を始められる方も、気になることがあれば遠慮なくご相談ください。
当院では、丁寧な診断とカウンセリング、信頼できる補綴治療を通して、長く安心して使えるかぶせものをご提供しています。


