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アレルギー検査は必要ですか?

2025年12月1日

前回のコラムでは、歯周病でもかぶせものはできるか、について詳しく解説しました。

前回の要点は、歯周病でもかぶせものは可能であるが、歯周病が進行している状態で無理にかぶせものをすると、治療が長持ちしなかったり痛みや腫れが再発したり、最悪な場合は抜歯に至るリスクが高まるので、そのまますぐにではなく事前に歯周のコントロールが必要である、という内容でした。

今回のコラムは、アレルギー検査は必要か、についてです。

結論からお伝えすると、必ずしも全員に必要ではありません。
しかし、過去に金属で皮膚炎や口内炎が出たことがある方や金属アレルギーの既往や疑いがある方、あるいは体調不良や口腔内症状が補綴(かぶせもの)と時期的に結びついている場合は、検査を行って原因を明らかにすることを強くお勧めします。
今回のコラムでは「いつ検査が必要か」「どんな検査があるか」「検査の長所・短所」「検査結果をどう治療に活かすか」を、分かりやすく、詳しく解説します。

1)どんなときに“検査を検討”すべきか(見逃さないでほしいサイン)

次のようなケースでは、歯科的なアレルギー検査・診察を検討します。

・銀歯や古い金属クラウンを入れたあとに、口唇や口腔粘膜のただれ・かゆみ・慢性の口内炎が続く
・口の外(顔や首、手など)に金属に接触した部位の皮膚炎(発疹・かゆみなど)がある
・かぶせものを入れた後に、味覚障害や金属味、舌の灼熱感(バーニングマウス症候群様)が出た
・既往歴に金属アレルギー(ニッケル、パラジウム等)がある、またはアレルギー検査で陽性だった
・インプラント等の金属(チタン等)に特に不安がある、あるいは過去にインプラントで問題があった

以上のいずれかに該当する場合は、歯科→皮膚科やアレルギー科への連携検査を含めて対応するのが安全です。

2)代表的なアレルギー検査と特徴

1.パッチテスト(皮膚貼付試験)

・どんな検査か
皮膚(背中など)に金属イオンや標準抗原を貼り、48〜72時間後に貼付部位の皮膚反応を観察する方法です。

・長所
金属接触アレルギー(遅延型:接触皮膚炎)の診断に広く用いられる標準的検査で、比較的入手しやすいです。

・短所
口腔内の粘膜反応とは必ず一致しない(粘膜は皮膚とは免疫反応が異なる)。また、偽陽性・偽陰性があるので結果の解釈には専門知識が必要です。

2.血液検査(リンパ球刺激試験:LTTなど)

・どんな検査か
患者さんの血液中のリンパ球を取り出し、目的の金属イオンを添加してリンパ球の反応(増殖やサイトカイン産生)を見る検査です。

・長所
体内での免疫応答を評価でき、パッチテストよりも“全身的”な反応を反映する場合があり、口腔内やインプラント関連の評価に使用されることもあります。

・短所
検査設備が限られている(特殊検査)、費用がかかることが多く、感度・特異度の点で万能ではなく、臨床所見との照合が必要です。

3.その他(血清IgE測定など)

・金属アレルギーは主に遅延型(接触性)で、IgEによる即時型アレルギーとは異なるため、金属の検査ではあまり用いられません。必要に応じて皮膚科・アレルギー専門医が最適な検査法を提案します。

3)検査を受けるメリット・デメリット

メリット

・原因となる金属(ニッケル、パラジウム、クロム等)を特定できれば、不要な金属を除去・メタルフリーに置換する判断がしやすくなります
・患者さんの不安を科学的に整理でき、特にインプラントや大きな補綴を控える場合の安心材料になります。
・皮膚科と連携することで、全身症状の診断にも役立ちます。

デメリット/注意点

・検査自体に偽陽性・偽陰性があり、結果だけで判断するのは危険です。あくまで臨床所見と合わせて総合判断する必要があります。
・一部の検査(LTT等)は特殊で高額、かつ結果解釈が難しい場合があります。
・検査をしても、すべての不快症状が“金属アレルギー”で説明できるわけではありません(舌痛症や他の全身疾患が原因のこともある)。

4)検査結果が陽性だったらどうするのか?(実際の対応方針)

1.まずは因果関係を検討

・検査陽性=必ず「その金属が今の症状の原因」とは限りません。症状の出現時期、局所所見、既往歴を総合して判断します。

2.原因補綴物の評価

・陽性の金属が口腔内に存在する場合、まずは該当する補綴物(銀歯や金属冠など)を詳しく診査します。接触部位や辺縁の炎症が強ければ置換を検討します。

3.交換の判断

・交換(メタルフリー化)は有効な対策ですが、歯を削る・再治療が必要・費用がかかるといった負担があります。歯科医と相談のうえ、得られるメリットとリスクを比較して決定します。

4.代替素材の選択

・ジルコニアやオールセラミックなどのメタルフリー素材を選ぶことで多くのケースで改善が期待できます。金合金(ゴールド)はアレルギーが出にくいとされますが、完全に安全という訳ではありません。

5.全身連携

・皮膚や全身の症状がある場合は皮膚科やアレルギー科と連携し、全身的な管理プランを立てます。

検査が不要なケース(過剰診療を避けるための目安)

・過去に金属で全く問題がなく、現在も口腔内に金属の補綴があるが症状がない場合は事前スクリーニングとしての検査は必須ではありません
・単に「将来的な不安」だけで全員にスクリーニング検査を行う必要はなく、症状ベースで検討するのが合理的です。

検査を受けるまでにできること(歯科受診時の準備)

・症状や経過をメモしておく(いつから、どの補綴物を入れた後か、皮膚症状の有無、既往のアレルギーなど)。
・使用中あるいは過去に使用した補綴物の材料情報(分かれば)や治療履歴があると診断がスムーズです。
・皮膚科で既に検査を受けたことがある場合はその結果を持参してください。

実際の費用・受診先(一般的な案内)

・パッチテストは皮膚科で行うことが多く、保険適用になる場合とならない場合があります(地域・保険制度により異なる)。
・LTT等の特殊検査は自費で高額になることが一般的です。検査の有用性や費用については、まず担当の歯科医・皮膚科医と相談のうえ方針を決めましょう。

最後に(歯科医院からのメッセージ)

検査は「必要なときに行う」ものです。症状や既往がなければ全員に行う必要はなく、むしろ不必要な交換や侵襲を招かないよう慎重な判断が大切です。

一方で、既に症状が出ている方や過去に金属でトラブルがあった方には、検査によって治療方針が大きく変わり得るため、積極的に検討すべきです。

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