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治療後に歯がしみるのは普通ですか?

2025年9月8日

前回のコラムでは、神経を取らずにかぶせものはできるのか、について詳しく解説しました。

前回の要点は、神経を取らずにかぶせものをすることは可能な場合が多いが、できるかどうかについてはその歯の状態(虫歯の深さ、症状、歯の破折の有無、根の状態など)によって変わり、歯科医としてはできるだけ歯の神経(歯髄)を温存する方向で治療を検討するが、場合によっては根管治療(神経を取る処置)が必要になることもあるということでした。

今回のコラムでは、治療後に歯がしみるのは普通なのかどうかについて詳しく解説していきます。

端的に言えば、ある程度の「しみ」は治療後に起こることがよくありますが、多くは一時的です。

ただし、原因や度合いはさまざまで、放置してよいものと早めの対応が必要なものがあります。ここでは「なぜしみるのか」「どのくらい続くか」「自宅でできる対処法」「歯科でできる治療」「受診すべきサイン」を、歯科医院の立場からわかりやすく丁寧にご説明します。

なぜ治療後に歯がしみるの?(主な原因)

・象牙質の露出・刺激
歯を削ったり、詰め物・かぶせものの形成で象牙質が近づいたり露出したりすると、冷たいものや熱いものにしみやすくなります。
一時的な歯髄(神経)への刺激
削る刺激や接着材、治療の圧が原因で歯髄が一時的に炎症を起こし、しみることがありますが可逆性の可能性が高いです。
接着材やセメントの影響
接着時の化学的刺激や、強い接着力による歯への影響で短期的に知覚過敏が出ることがあります。
咬み合わせの不具合
かぶせものや詰め物の高さが少し高いと、一部の歯に過度の力がかかり、痛みやしみが出ることがあります。
亀裂(クラック)や内部の問題
歯に亀裂がある場合や、内部に深い虫歯が残っていると、しみや痛みが続くことがあります。
根管治療をしていない歯での深い虫歯
元々神経に近い深い虫歯を治した場合、神経の状態次第でしみが強く出ることがあります。

どのくらい続くのかとその目安について)

一般的な目安は下の通りですが、個人差があります。

症状の種類 目安
軽い冷水のしみ・短時間の違和感 数時間〜数日で改善することが多い
中等度のしみ(冷・温で反応) 数日〜2週間程度で軽快することが多い
強いズキズキした痛みや、徐々に悪化するしみ 数週間続く・悪化する場合は要受診
咬むと痛む、腫れや発熱がある 早急な受診が必要

※治療後の「軽いしみ」はよくある反応ですが、2〜4週間経っても改善が見られない・症状が悪化する場合は、再診が必要です。

ご自宅でできる対処法(すぐ試せること)

刺激を避ける:冷たい飲み物や極端に熱いもの、酸性の強い飲食物(柑橘類・炭酸飲料など)を一時的に避ける。
やさしいブラッシング:やわらかめの歯ブラシで境目を優しく磨く。強い力は逆効果です。
知覚過敏用の歯磨き粉:カリウム塩やフッ化物配合の感作軽減用ペーストが効果的なことがあります(数回だけでなく継続の使用が必要)。
うがい/塩水での軽いうがい:刺激が強い場合はぬるま湯で優しくうがい。塩水は抗菌的に穏やかで不快感軽減に寄与することがあります。
鎮痛薬の活用:どうしても痛みが強い場合、市販の鎮痛剤(イブプロフェン、アセトアミノフェン等)が短期間の緩和に役立つ場合があります。服用は用法用量を守り、不安があれば薬剤師や医師に相談してください。

歯科で行う対応(受診すると何をするか)

・咬合(咬み合わせ)チェックと調整:かぶせものや詰め物の高さを調整して過度の力を取り除きます。
表面コーティングやフッ化処置:フッ化物塗布や、象牙細管を封鎖するコーティングでしみを軽減します。
接着状態・辺縁の確認:隙間やセメントの問題があれば修理・再接着を行います。
覆髄や直接/間接覆髄(神経保護):神経に近い場合、MTAやBiodentineなどの生体材料で保護し、神経を残す治療を行うことがあります。
根管治療(必要時):神経が不可逆的に炎症している(強い自発痛、レントゲンで根尖病変がある等)場合は根の治療が必要です。
仮歯の調整や交換:仮歯の形や接着で不具合が起きている場合、再調整で改善することがあります。

すぐに受診していただきたいサイン(要緊急)

次の症状がある場合は、早めに歯科医院へご連絡ください!!

・我慢できない激しい痛みが続く
・咬むと強い痛みがある(咬合痛)
・口や頬の腫れ、発熱、膿が出るなど感染の兆候がある
・症状が治療後数日で悪化している

これらは神経の深刻な炎症や感染が進行している可能性があります。

予防の観点:しみを出しにくくするために

・治療前に十分な診査(レントゲン・感覚検査)で神経への近さを評価します
・削る量は「最小限」を心がけ、部分修復(オンレー等)を選べる場合はそれを優先します。
・適切な接着材・封鎖剤を使用し、辺縁からの菌の侵入を防ぎます。
・必要なら術後のフッ化塗布やコーティングで知覚過敏予防を行います。

よくある質問(Q&A)

Q1.しみが1週間続くのですが大丈夫ですか?
A. 軽度〜中等度のしみであれば1〜2週間で改善することが多いですが、症状が強い・悪化する・1〜2週間経っても改善しない場合は受診をおすすめします。

Q2.麻酔が切れた直後の方が痛いのはなぜ?
A. 麻酔で一時的に痛みが抑えられていたところが切れると、炎症や刺激に対する反応が強く感じられるためです。これも一時的なことが多いです。

まとめ

治療後の「しみ」は珍しくなく、多くは時間とともに改善し、当院では、しみの原因を見極めたうえで最小限の処置で症状を和らげ、長期的に安定させることを目指しています。

「ちょっと気になる」「長引いている」と感じたら、遠慮なくご相談ください。症状の程度に合わせて、すぐに対応・調整いたします。

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