歯のかぶせものとは??
2024年12月24日
今回から数回にわたってのコラムは、私がこれまでの診療において患者さんから実際にうけた「歯のかぶせもの」についての質問の内容を加味しながら。それを深く掘り下げて解説していきます。
今回は「歯のかぶせものとは?」と題してその用途と種類などについて解説します。
「歯のかぶせもの」とは、歯が欠けたりする外傷や、虫歯などで歯がダメージを受けた場合に、歯を保護して見た目や機能を回復するために、歯にぴったりフィットするように作られた人工物を歯にかぶせるもので、専門用語では「クラウン」と呼ばれています。
歯のかぶせものは、歯科治療の中でもとても大切な役割を果たす治療法のひとつであり、ただ単に歯を覆うだけでなく、咬む力をしっかりと支えるように設計されており、虫歯になっていない状態のいわゆる「天然の歯」に近い見た目や強度を実現します。また、近年では使われる材料や技術の進歩により、より自然な仕上がりや長持ちする耐久性を期待できるものもあります。
かぶせものの用途
かぶせものの用途としてよくある例として、以下のような項目が挙げられます
- 虫歯治療後の歯の保護:大きな虫歯治療後、残った歯が弱い場合にかぶせものを装着して歯を守ります。
- 審美性の向上:歯の色や形を整えることで、笑顔に自信を持てるようになります。
- 咬み合わせの改善:欠けたり削れた歯を修復して、快適な咬み合わせを取り戻します。
歯の健康を守るためには、適切なかぶせものを選ぶことが重要で、一人ひとりのお口の状態やご希望に合わせた最適な素材とデザインが提案されます。
歯科の治療で使われるかぶせものを専門用語で「クラウン」と呼ばれていることは冒頭でお伝えしましたが、これとは別に「インレー」と呼ばれている物もあります。
どちらも虫歯や欠けた歯を修復するための補綴物(ほてつぶつ)なのですが、実はその目的や装着方法は異なっています。次にそれぞれの特徴を簡単にご説明していきます。
クラウンとは?
前述したようにクラウンは、「歯全体を覆うように装着するかぶせもの」です。虫歯が大きく進行して歯の大部分を削る必要がある場合や、歯が割れてしまった場合などに使用されることがほとんどです。
クラウンは歯全体を包み込むことで、歯の強度を補強し、咬む力に耐えられるようにする役割があります。また、見た目を自然に整えるため、セラミックや金属などのさまざまな素材が選べます。
インレーとは?
インレーは、「歯の部分的な修復」に使われる詰め物の一種です。虫歯治療後に削った歯の凹んだ部分にぴったり合うように作られます。歯の形を元通りに整えつつ、しっかりと咬める機能を回復させるのが目的です。クラウンとは異なり、歯全体を覆うのではなく、削った部分だけを補うため、健康な歯を多く残すことができるのが特徴です。
クラウンとインレーの使い分けの例として、以下のような場合があります。
クラウンが適しているケース
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- 虫歯や損傷が広範囲に及んでいる場合
- 歯が大きく欠けている、または割れている場合
- 根管治療後で歯が弱くなっている場合
インレーが適しているケース
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- 虫歯や損傷が部分的である場合(歯全体を覆うまで至らない場合)
- 歯の健康な部分をできるだけ残したい場合
- 強度と自然な見た目を両立したい場合