歯のかぶせものの主な素材について知っていますか??
2024年12月31日
前回は「歯のかぶせものとは?」と題してその用途と種類などについて解説しました。
「歯のかぶせもの」は専門用語ではクラウンと呼ばれ、「歯全体を覆うように装着するかぶせもの」であり、これとは別に、専門用語ではインレーと呼ばれる「歯の部分的な修復」に使われる詰め物があり、クラウンとは異なって歯全体を覆うのではなく、削った部分のみを補うので健康な歯の部分を多く残すことができるという内容をお伝えしました。
今回のコラムはインレーやクラウンなどのかぶせものの素材について詳しく解説していきます。
歯のかぶせものは、歯科治療の中でもとても大切な役割を果たす治療法のひとつであり、ただ単に歯を覆うだけでなく、咬む力をしっかりと支えるように設計されており、虫歯になっていない状態のいわゆる「天然の歯」に近い見た目や強度を実現します。
また、近年では使われる材料や技術の進歩により、より自然な仕上がりや長持ちする耐久性を期待できるものもあります。
また、クラウンとインレーは使用する素材によってもその特徴や仕上がりが変わります。素材の選択肢の例としては以下のような素材があります
クラウンとインレーの主な素材
セラミック
保険外(自費治療)で使われている素材で、天然の歯に近い透明感と色合いを再現する事ができます。特に前歯をはじめとした「見た目を重視したい場合」におすすめの素材です。また、金属は一切不使用なので「金属アレルギー」の心配がないのもメリットの素材です。
メタル(金属)
非常に耐久性が高く、奥歯のように咬む力が強くかかる部分に適しています。ただし、歯の場所によっては見た目に金属の色が目立つことがあります。
保険で認められて使用されるシルバー色の金属素材と、保険外(自費治療)で使用されるゴールド色の金属素材の2つの色の系統があります。
ハイブリッドセラミック
セラミックと樹脂を組み合わせた素材で、自然な見た目とコストパフォーマンスの良さを両立しています。表面はなめらかでツヤがあり、素材の中にセラミックが入っているので着色しにくく、汚れやプラークも付きにくいという利点もあります。
また、金属不使用であるため、金属アレルギーがある方の場合にも安心して使うことができる素材です。金属が少しでも使われている場合に歯ぐきが色素沈着を起こして黒ずんでくる可能性がありますが、その心配もありません。
治療の主流となってきたCAD/CAM冠やCAD/CAMインレーと呼ばれている歯の治療については、保険適応されるための個々の歯についての諸条件を満たしてる場合には、健康保険適応の治療が出来るので、セラミックの自費治療と比較すると治療費を安価に抑えることが出来ます。
ただし、この場合において使用する素材の色調はわずか4~5種類ほどしかなく単色のみになっています。そのため、色調は純粋なセラミックに比べるとやや劣り、微妙な色の再現は出来ません。
耐久性については、ハイブリッド素材には樹脂(歯科用プラスチック)が含まれているため、セラミックに比較すると耐久性などはやや劣ります。また、咬み合わせの強さによってはCAD/CAM冠やCAD/CAMインレー治療が不向きな場合もあります。
保険適応条件を満たすことができず、健康保険の適用外になった場合は自費診療になります。気になる点をカウンセリングの際に質問し、こうしたメリットやデメリットをしっかり理解した上でご検討してください。
ジルコニア
保険外(自費治療)で使用される素材で、強度と美しさを兼ね備えた最新の素材です。特に耐久性が求められる奥歯にも適しており、セラミック以上の強度があります。白い審美的な素材の中では強度だけでなく耐久性と審美性の三つの最優良条件を兼ね備えた、歯科医師が最もお勧めしたい素材です。