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歯周病でもかぶせものはできますか?

2025年11月24日

前回のコラムでは、かぶせものが原因で口臭が出ることはあるか、について詳しく解説しました。

前回の要点は、かぶせものが直接あるいは間接的に口臭の原因になることはあるが、必ずかぶせものが原因というわけではなくその原因はその他の要因も多くあり、どういったメカニズムで口臭が発生しているのかを理解して対処することこそが重要である、という内容でした。

今回のコラムは、歯周病でもかぶせものはできるか、についてです。

結論からお伝えするとできます。ただし「そのまますぐに」ではなく、まずは歯周病(歯肉や歯を支える骨の病気)のコントロールが必要です。
歯周病が進行している状態で無理にかぶせものをすると、治療が長持ちしない・痛みや腫れが再発する・最悪抜歯に至るリスクが高まります。歯科医師の立場からは「歯周病の治療(炎症コントロール)→口腔内環境の安定確認→かぶせもの作製」という段階を大切にしています。
今回のコラムでは、なぜ事前に歯周病治療が必要なのか、具体的な流れや注意点、そしてよくある質問などをわかりやすく詳しく説明します。

なぜ歯周病を先に治す必要があるのか?

・感染の温床を残したまま補綴(かぶせ)すると再感染しやすい
かぶせものの周囲にプラークや歯石が残ると、歯ぐきの炎症が続き、マージン(かぶせものの縁)から細菌が侵入して二次的な問題を起こします。

・歯ぐきや骨の状態が不安定だと適合が難しく、寿命が短くなる
歯ぐきの腫れや退縮、ポケットの深さが変動するうちは、精密なマージン(境目)を取ることができません。

・動揺のある歯に被せても長期的な支持が見込めない
歯がグラグラしている場合は、まずその原因(歯周ポケット・骨吸収など)を改善する必要があります。

治療の一般的な流れ

初診・精密診査

問診、視診、歯周ポケット測定(プロービング)、レントゲン、必要に応じて口腔内写真や模型採得をします。
歯周炎の程度(軽度・中等度・重度)と、かぶせものが必要な歯の保存性を評価します。

治療(歯周基本治療)

ブラッシング指導(TBI)と生活指導(喫煙・糖尿病管理などの話し合い)
スケーリング・ルートプレーニング(歯石除去・歯根面の清掃)
必要に応じて局所抗菌療法やシステム的な管理

再評価(通常 4〜8 週間後)

ポケットの改善度、出血の有無、歯の動揺の変化を確認し安定していれば補綴(かぶせもの)の計画へ進みます。改善不十分であれば追加の歯周外科(フラップ手術、歯周組織再生療法など)を検討します。

歯周外科・歯肉整形(必要時)

骨欠損が大きい場合や歯肉の形態を整える必要がある場合に実施します。マージンの適正化や審美性向上のために行うことがあります。

補綴処置(かぶせもの作製)

歯周組織が安定した状態で精密形成、印象(または光学スキャン)、仮歯→最終補綴の順で進めます。
マージンは歯肉上または健康な歯肉縁下に設定し、清掃性を第一に考えます。

メンテナンス(定期的な管理)

装着後は3ヶ月〜4ヶ月ごとのメンテナンスを基本に、プラークコントロール・プロフェッショナルクリーニング・咬合チェックを行います。歯周病は慢性疾患のため継続管理が必須です。

歯周病がひどい場合の具体的対応(よくある選択肢)

・歯周基本治療で回復が見込める場合
そのまま保存して補綴(かぶせ)を行う。

中等度〜重度で部分的に回復可能な場合
歯周外科(フラップ手術・骨再生)を行った後、補綴で補強します。

動揺が強く保存不可能な場合
抜歯→インプラント、ブリッジ、入れ歯の検討になります。インプラントをする場合も歯周病(特に全身的リスク)をコントロールする必要があります。

・補綴設計での工夫
ブリッジで長いスパンにしない、マージンを歯肉より下に深く入れない、清掃しやすい形態にする、必要に応じてスプリント(固定)で動揺を抑える等を検討します。

・ジルコニア・フルセラミック
表面が滑らかでプラークが付きにくく、メタルフリーなので歯肉反応が良好なケースが多く、審美性も高いです。

・金属(合金)
適合が良く耐久性は高いが、金属縁が露出すると歯肉反応や審美上の問題が出ることがあり、金属アレルギーの有無も考慮が必要です。

・補綴物の境目(マージン)設計
歯周管理が必要であるケースでは、清掃しやすいマージンの位置や形を最優先に設計します。

患者さんにお願いしたいこととして

・毎日の丁寧なプラークコントロール(正しいブラッシング・フロスや歯間ブラシの使用)
喫煙の中止(喫煙は歯周病治療の成功率を下げます)
生活習慣病(糖尿病等)の管理(全身状態が歯周病に影響します)
定期的なメンテナンス受診(3〜4ヶ月毎)
歯周病は再燃しやすいため、継続的なプロケアが重要です。
・違和感や腫れがあれば早めに受診
早期対応で補綴物の再処置や大事な歯の喪失を防げます。

よくあるご質問(Q&A)

1.歯周病があると保険でかぶせものはできませんか?
A. 歯周病の有無自体が保険適用を否定するわけではありません。
歯周病の治療や管理が不十分な状態で補綴を行うと長持ちしないため、まずは歯周病治療を行う
ことが基本になります。

2.かぶせものを入れたら歯周病が悪化することはありますか?
A. 不適合なかぶせものや、清掃困難な設計だと悪化する可能性があります。
適合精度と清掃性を重視した設計が必要です。

3.歯ぐきが下がっている歯にもかぶせものはできますか?
A. 歯ぐき下がり(退縮)の程度によります。
審美的な問題がある場合は歯肉移植などの歯周外科を併用することもあります。

4.装着後どれくらいでメンテナンスに来ればよいですか?
A. 通常は3ヶ月〜4ヶ月ごとをおすすめします。状態により短い間隔にすることもあります。

実際のケース(簡単な事例)

ケースA(軽度歯周炎)
スケーリング・TBI後、歯周ポケットの深さが改善しました。仮歯で咬合を確認してからセラミッククラウンを装着しました。その後1年後も良好。

ケースB(中等度、片側に強い骨吸収)
まずフラップ手術と骨補填を行い、歯肉の安定を確認してから補綴。治療に時間を要したが、保存が可能だった。

ケースC(重度、動揺が強い)
保存困難と判断し抜歯→両隣の歯が同様なかったためブリッジによる治療に移行。ブリッジ周囲の衛生管理を徹底して良好な予後を得ています。

まとめ(歯科医院からのメッセージ)

歯周病があっても適切な治療と管理を行えば、かぶせものによる修復は可能ですが、重要なのは「治療の順番」と「継続的な管理」です。
単にかぶせものを被せるだけでは歯周病の問題を先送りにすることになりかねません。当院では、歯周病の程度をしっかり評価したうえで、保存的治療・外科的治療・補綴処置を組み合わせ、患者さんの希望(見た目・費用・期間)を尊重して最適なプランを一緒に検討します。まずはお気軽にご相談ください。検査のうえ、わかりやすく選択肢をご説明しています。

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