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年齢と虫歯の関係について知っていますか??(その3、成人期)

2023年12月1日

前回と前々回の2つのコラムでは「こども期」と「思春期」の順に「虫歯が発生するきっかけ」「発生しやすい部位」「口腔ケア方法」について解説しました。

親がこどもの歯の仕上げみがきを行う「こども期」の期間中に、親からこどもに歯みがきと虫歯予防の大切さが伝わっていれば、こども自身に虫歯予防の意識が徐々に芽生え、歯みがきにも自主性が生まれ、こどもは「思春期」に移行する時期に親による歯の仕上げみがきから円滑に卒業できます。

また「思春期」に移行する時期までに、おやつの飲食やおやつの管理について親子間で意思の疎通ができていると、「思春期」にあめやチョコレートを多く食べるようになるなどの間食の大きな構成変化は起こりにくので、こどもの歯が虫歯になるきっかけは生まれにくくなり、結果として虫歯予防につながります。

「思春期」における虫歯の根本的な原因は、食習慣や生活環境の変化によるものが多いので、親や保護者はそのような変化が起こらないような事に気を付けていく必要があります。

上記にまとめた「思春期」までの虫歯予防の要点を踏まえながら、今回のコラムでは前回コラムの「思春期」に続く「成人期」の年齢層について「虫歯が発生するきっかけ」「発生しやすい部位」「口腔ケア方法」について分かりやすく解説していきます。

成人期

成人期は、年齢的には高校卒業した頃から60代前半くらいまでの年齢層が該当します。

成人期の歯は成熟し、虫歯の進行が遅くなる傾向があります。

しかし、適切なケアを怠ると、依然として虫歯にかかる可能性もあり、歯科医院の定期的な検診を受け、ケアの継続は不可欠です。

この年齢層は大学生や専門学校生などの学生、または社会人として会社などに勤務している方が多い年齢層でもあり、虫歯が発生するきっかけは一人ひとりの生活習慣によって様々です。

  1. ①食事や間食をしても業務上なかなか歯をみがく時間を取ることができない
  2. ②料理人や食品開発の仕事で、調理した食べ物の「味見」を頻繁にする仕事をしている
  3. ③夜間に眠気を抑えるために砂糖入りコーヒーなどの飲料、チョコレートや飴、キャラメルなどを頻繁に飲食する。
  4. ④タバコをやめたが口元が寂しいので飴やチョコレートを頻繁に食べるようになった
  5. ⑤子供を妊娠して「つわり」がひどく、口の中に胃液が逆流することが多い
  6. ⑥ダイエットのために、食べた後に意図的に嘔吐させるという生活をしている
  7. ⑦健康志向でレモン汁、黒酢、クエン酸、青汁(糖含有)などを就寝前に飲んでいる
  8. ⑧飲料は炭酸飲料を多く飲むことが多い
  9. ⑨間食はいつも甘い食べ物と甘い飲み物がほとんどである
  10. ⑩お酒を飲んで寝てしまう事が多い

上記は私が長年診療をしてきて、成人期に虫歯が多発していた方から聞き取った生活習慣の一部です。

成人期の虫歯発生のきっかけとして上記に10項目を記載しましたが、上記の複数項目に該当するのであれば虫歯リスクはかなり深刻です。

成人期の虫歯の発生しやすい部位については、③~⑧、⑩の場合は主に歯の付け根に発生します。

糖を含んだ液体は虫歯を引き起こす菌の格好のエサとなり、酸性度の高い飲料と強酸の胃液は歯の面に触れることで歯を直接脱灰させます。

糖<酸性飲料<<胃液、の順に歯に強く害を及ぼし、特に胃酸が歯に対する脱灰力は強烈で、治療してある詰め物や被せ物を直接溶かしませんが、詰め物や被せ物と歯の境目から歯を蝕んでいきます。

また、①②⑨の場合は歯と歯の間やかみ合わせの面に虫歯を作ることが多いです。

成人期の年齢層の口腔ケア方法としては、歯ブラシによる歯みがきやデンタルフロス、歯間ブラシなどの補助的清掃道具の併用が主体なのですが、生活習慣に虫歯のきっかけとして挙げた10項目が含まれていれば、まずその生活習慣の改善を行い、改善が出来ないのであれば内容を工夫することが優先されます。

「食事や間食をしても業務上なかなか歯をみがく時間を取ることができない」に該当する場合は、食事や間食を取らないわけにはいかないので工夫を考えます。

具体的には、食事ではデザートなどの甘いものを食べて終わりにするのではなく、甘いものを食べた後に糖分の無い食品を意図的に食べて歯の表面に付着している糖分をそぎ落とす工夫や、間食であれば糖分の少ない物やせんべいなどに変える工夫が挙げられます。

糖分を十分に除去するには不十分ですが、歯みがきガムなど咬む工夫もあります。

「料理人や食品開発の仕事」の場合は、甘い食品に特化している場合や、酢などの酸性の調味料に偏っていなければ、深刻ではありません。

「妊娠中のつわり」は避けられない強酸である胃酸の逆流なので、つわりの後に直ちに水で口の中を十分にゆすぎ、口の中を中和します。

口の中に胃酸の酸っぱい感じがなくなるまでゆすぎます。

30分程度の歯の再石灰化のための時間を経過してから、歯みがき粉をつけないで歯みがきをします。

上記の3項目以外は生活習慣を改善することが御自身で可能なので、飲食する時間を変更してみたり、飲食の量を減らす、そして寝る前に歯みがきを忘れないなどの改善で虫歯リスクを減らすことができます。

歯科医院での定期検診などで、虫歯傾向について指摘されることがあれば、日々の生活習慣を見つめ直してみて、是非思い当たる点を改善してみましょう。

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