歯周病と食生活、生活リズム、ストレス、喫煙との関係について知っていますか??
2023年3月14日
これまでのコラムでは、歯周病菌が口の中に入り、定着増殖して炎症を起こしていくという話と、歯周病菌が定着しやすい場所ごとの歯磨きのための補助道具の使い方、歯磨剤や効果的なうがいの方法について説明をしてきました。
歯周病は静かに進行する慢性疾患であり、生活習慣病ともいわれています。しかしその個人のいつの頃からのどの生活ぶりや生活要因が問題なのか、それは何とも漫然としたものではっきりとらえる事はしいです。
個人個人が同じような生活をしていても、体の抵抗力や加齢といった時間的な要因が絡んで症状が出たり出なかったりという事はよくあります。
厳密には同じ生活などという事はまったくないので、生活の中の何が問題になっているのかという事は個別的なことであり、千差万別で色々な要因があります。
治療の過程でも個別的ではあるのですが、「生活の何を問題視するのか」、という事を長年の経験から考えてみました。
生活習慣における歯周病の要因
生活習慣においてで歯周病と関連する要因としては、
- ・食事の偏りと頻度
- ・生活リズム
- ・ストレス
- ・喫煙
の4つがあると考えていますが、これらについて順に解説していきます。
食事の内容や栄養面も問題であるが、まずは大まかなとらえ方として食事の偏りと頻度について考えてみましょう。
歯周菌の定着と増殖という観点から、「甘いもの」に関しては特に注意する必要があります。
甘未嗜好の強い人の多くは偏食傾向があるという事と、また日常生活の中でお茶を飲むことも要注意です。
コーヒーや紅茶に砂糖を入れていてもそれを「お茶(と変わらない)」として認識し「甘いもの」を頻繫に摂取しているという認識が薄いこともあります。
また、規則的な食事であればいいのですが、ダラダラと食べる事が多く、それが習慣となってしまっていると問題です。
生活リズムについては、食事睡眠などの生活リズムが規則的かそうでないかが関係してきます。
若い時はそんなに影響しないが、40歳代や50歳代ともなると不規則な生活はかなり歯周組織にとっては問題になってきます。
職業(時間的に不規則勤務が多くないか)、家族構成(こどもやお年寄りの介護などに手を取られてしまう事がないか)、家族の生活リズム(食べる時間がバラバラでないか)、夜勤、出張、単身赴任等なども影響を及ぼす要素となるので気を付けたいところです。
ストレスについては、日常生活である程度のストレスは必要ですが、それが過剰に長期に加わり続けると、体の抵抗力の減退(歯茎も腫れやすくなるなど)、歯ぎしりや食いしばり、過食や拒食を引き起こすことがあります。
心理的・物理的ストレスが体に作用することにより、種々の交感神経作用物質・副交感神経作用物質が分泌され、これらが免疫力を抑える方向に作用することが示唆されています。
喫煙により、特に歯ぐきは外見上もかなり変化を受け、血液循環や血管にも影響を与えていると思われます。
炎症は目に見えた状態で現れにくくなり、歯周病の処置をしても血液供給が十分でないために治癒が悪い傾向があります。
喫煙している方は喫煙していない方と比べて、歯周炎の発症・進行が2~8倍高いとされており、喫煙で免疫力が落ち、毛細血管の局所的な循環障害が生じるという事が実証されています。