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すべての歯にセラミックは使えますか?

2025年9月29日

前回のコラムでは治療後にかぶせものが高く感じるのはなぜか、について詳しく解説しました。

前回の要点は、治療後にかぶせものが「高く感じる」ことはよくある反応」であり、原因はいくつかあるが多くは簡単な調整で改善する、ということでした。

今回のコラムでは、すべての歯にセラミックは使えますか、について詳しく解説していきます。

理論的には多くの歯にセラミック系の材料を使えますが、実際には「部位」「咬み合わせ」「咬合力(歯ぎしり等)」「歯の残存状態」「審美ニーズ」「費用」などを総合的に判断して決めます。

以下、歯科医院の立場で患者さんに分かりやすく、詳しく説明をしていきます。

1.セラミックの種類

セラミックにも種類があり、代表的なものを用途とともに簡単に紹介します。

ガラス系セラミック(e.max=リチウムディシリケートなど)
審美性が高く前歯や小さめの修復に最適。接着(接着セメント)で強く固定する必要があります。
ジルコニア(高強度セラミック)
強度が高く奥歯や咬合力が強い部位にも使える。透光性はガラス系よりやや劣るが、最近は審美性の高いタイプもあります。
フルベニア(薄いラミネート)やハイブリッド系
歯をあまり削らず審美改善を行う場合に適するが、素材によって耐久性に差あり。

2.どの歯に向きなのか(前歯と奥歯で考え方が違います)

・前歯(見えるところ)
審美性を最優先するため、「ガラス系セラミック(オールセラミック)」が好まれます。色や透明感を天然歯に近づけやすく、口元の印象を大きく改善できます。

・奥歯(咬む力が強いところ)
強度が重要で、ジルコニアは奥歯に適した選択肢ですが、咬合が非常に強い方(歯ぎしり・食いしばりが強い方)はさらに設計や顎用ナイトガードの併用も必要になります。

3.使えない・向かないケース(注意が必要な場合)

以下のような状況では、セラミックが最良の選択とは言えないことがあります。

・咬合力が極端に強い(重度の歯ぎしり・食いしばり)
ジルコニアでも欠けや対合歯への摩耗の問題が出る場合があり、ナイトガードや別素材の検討が必要です。
歯がほとんど残っておらず、支台構築が困難な場合
土台(コア)の状態次第では、かぶせもの自体が外れやすくなるため、補強や別の治療(抜歯・インプラント)を検討します。
長大なブリッジ(多数歯連結)
長いスパンのブリッジには、ジルコニアでも破損リスクがあるため、設計や材料(内冠に金属を用いるメタルボンド等)で対応することがあります。
対合歯(かみ合う歯)が天然歯で極端に弱い場合
硬いジルコニアが対合歯を摩耗させる可能性があるため調整や別素材を検討します。
口腔衛生が不良で、虫歯や歯周病がコントロールできていない場合
まずは感染コントロールが必要。セラミックは精密適合が必要なため、環境が整っていないと失敗するリスクが高まります。

4.セラミックを選ぶ際のメリット・デメリット

メリット

・天然歯に近い色調・透明感(特にガラス系)
・金属不使用で金属アレルギーの心配が少ない
・着色に強く、審美性が長持ちする(素材次第)

デメリット/注意点

・金額が高くなる(自費診療)
・薄く作るには適切なスペースと接着技術が必要
・咬合力が強い場合に破折や摩耗のリスクがある(素材・設計で対処可能だが完全ではない)
・対合歯への摩耗(特に粗研磨のジルコニアは注意)

5.臨床での判断プロセス

以下のような流れで「セラミックが適切か」を判断します。

1.診査:レントゲン・口腔内写真・咬合(咬み合わせ)評価、歯ぎしりの有無確認
2.希望の確認:見た目・費用・治療回数のご希望を伺う
3.選択肢の提示:素材(e.max・ジルコニア・メタルボンド等)ごとの長所短所と費用を詳しく説明
4.装着前に必要な治療の提案:必要に応じて仮歯での試験、ナイトガード併用、歯周治療や根管治療の事前施行
5.最終決定:患者さんと相談して最適な計画を立て、精密に処置します

よくある実例

・前歯の審美改善(30代女性)
色ムラと欠けを気にされていたため、オールセラミック(e.max)で修復。色合わせと透明感を重視し、周囲の歯とほぼ同じ仕上がりになりました。

・奥歯での耐久重視(50代男性、歯ぎしりあり)
ジルコニアを選択し、併せて就寝用のナイトガードを作製。3年経過して問題なく、ナイトガードがなければ破折リスクが高かった可能性がありました。

・ブリッジの一部改修(60代女性)
長いスパンのブリッジはジルコニア単体ではリスクがあったため、メタルボンドで内面に金属を使い外側にセラミックを焼き付ける設計で対応しました。

7.費用と保険についての注意

・多くのセラミック修復は自費診療になります(素材・医院により幅があります)。
・一部、条件付きでCAD/CAM冠など保険でできる白い素材もありますが、適用部位や条件が限定的です。詳細は医院でご確認ください。

8.長持ちさせるコツ(メンテナンス)

・毎日の丁寧なブラッシング+フロスや歯間ブラシで辺縁部の清掃を徹底する
・3〜6ヶ月毎の定期検診・プロフェッショナルクリーニング(PMTC)を受ける
・歯ぎしりがある方はナイトガードの着用
・硬いものや氷など、素材に負担がかかる食習慣は避ける

まとめ

すべての歯に理論上はセラミックを使うことができますが、「使うべきかどうか」は個々の歯の状態・咬合・患者さん自身の希望・費用・長期的な安全性を考慮して決めるべきです。

当院では、審美性と機能性の両立を最優先に、必要な検査と丁寧なカウンセリングを行ったうえで最適な素材と治療計画をご提案します。気になる点や「自分の場合どうか」を知りたい方は、どうぞお気軽にご相談ください。

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