歯周病は若くても発症するのを知っていますか??
2023年4月14日
歯周病は、必ず成人以降にのみ発症する病気ではありません。
歯周病の原因は、歯垢呼ばれている細菌性プラークという汚れなので、歯肉炎は乳歯の時でもみられます。
さらに、全身状態との関連でさまざまな病態が若い方の口の中に生じます。
前回と前々回のコラムでは、歯周病のよくある症状と、自分の目でチェックできる歯周病の諸症状について解説しましたが、今回のコラムでは若年者に生じる、病態が特徴的な歯周疾患について解説していきます。
前々回と前回のコラムにはなかったような症状がいくつかあるので、知っておくと判断に役立ちます。
若年者に生じる、病態が特徴的な歯周疾患
思春期性歯肉炎
歯磨きの不良により歯肉炎は生じるのですが、思春期の性ホルモンのアンバランスなどにより増強されるものをいいます。中学成高校生くらいの年齢で生じます。
慢性剥離性歯肉炎
初期の段階では歯ぐきに赤みがかった斑点が生じ、歯ぐきの表面の上皮が一層向けやすいのが特徴的で、30歳以降、特に閉経期付近の女性に多発するものですが、男性でも生じます。
歯ぐきの上皮が剥離すると、びらんというヒリヒリする面が現れて、強い刺激痛や出血を伴います。
原因は栄養不足、アレルギー、ホルモンのアンバランス、極度のストレスなどが考えられます。
自己免疫疾患であるともされています。
急性壊死性潰瘍性歯肉炎
最初に現れる症状は痛みで、歯と歯の間の歯ぐきの部分から始まり、歯の表側や裏側にも歯ぐきの破壊が進みます。好発年齢は15~30歳で、歯の付け根と歯と歯の間の歯ぐきが壊死(歯ぐきが死んだ状態になる)、潰瘍の形成、発熱、あごの下の部分にある顎下リンパ節の腫れなどを伴います。
原因は栄養不足、過度の疲労、ストレスなどが考えられています。
ダイランチン(フェニトイン、ヒダントイン)歯肉増殖症
抗てんかん薬のジフェニールヒダントインを長期間連続服用していることにより発現する歯ぐきの増殖症です。長期服用中の約半数に出現し、15歳前後に発現率が多く、多毛症との合併も見られます。
歯と歯の間の歯ぐきがコブのように膨れ、プヨプヨした腫れた状態ではなく、線維性の歯ぐきの増殖なのである程度の硬さがあります。
若年性歯周炎
侵襲性歯周炎とも呼ばれることもあり、11歳~20歳頃までに発症し、前歯と奥歯のみの骨の吸収を特徴とする限局性と、全体的な歯の周囲の骨の吸収が起こる全部性のものがあります。
限局性のものは思春期に発病しますが、歯科でのレントゲン写真で偶然に発見されることが多いです。
初期段階では六才臼歯の名前で知られている上下の第一大臼歯と上下の前歯に発症し、その後病状の進行とともに他の歯にも広がっていきます。
歯周炎なので、深い歯周ポケットが形成され、歯のぐらつきなどが症状です。
治療を行わないと、前歯と第一大臼歯の歯周病が急速に進行します。
若くして歯を失うことが多い歯周病なので、注意が必要です。
発現率は男性より女性に3倍多く、1000人に5人以下の割合とされています。